美しい髪を構成する「感触」「色艶」「形」「動き」の4つの要素について
毛髪表面構造や内部構造、力学特性との関係について・・・資料を基に簡潔に書いていきます。
毛髪(頭髪)は人の見た目の印象を決める重要な要素の一つであり、美しい毛髪はそれだけでも十分に魅力的です。
基本的な要素として、
⋆ 髪に触れた時の滑らかな「感触」
⋆ 髪を見た目に感じる「色ツヤ」
⋆ ヘアスタイルのベースとなる毛髪の「形」
⋆ 人の動作に伴う髪のしなやかな「動き」
*「感触」・・・
毛髪表面のキューティクルは、何層も重なった構造をしています。
そのキューティクルの最表層には18-メチルエイコサン酸(MEA)という脂肪酸の一種が密に整列している。MEAの整列した毛髪表面は疎水セであり、摩擦が低い状態に保たれています。
しかし、アルカリ性の処理剤に触れることにより、MEAは毛髪表面から容易に外れてしまい流失します。化学反応の後、毛髪表面は親水的になり、その結果摩擦が大きくなります。
ダメージを受けた毛髪の滑りが悪くなり感触が悪化します。
*「色ツヤ」・・・
健康な髪は毛髪内部には空洞はありません。(できません)
カラー(ブリーチ、アルカリカラー所謂白髪染めはブリーチをしています。)や、パーマなどの化学的なダメージを繰り返すことや、過剰な加熱によるダメージにより、内部組織が収縮し、
毛髪内に空洞が発生し増加します。
健康毛の空洞が無い髪は光を反射し、艶やかに見えます。
一方、空洞が出来た髪は光が散乱するため、髪色が白っ茶けてくすんで見え、艶感が低下します。
黒髪より、髪色が明るい場合は、毛髪内部で散乱する光が吸収されずに毛髪の外に出てくるため、見た目の色ツヤに影響を及ぼします。
日本人の黒髪は明るくブリーチをしても、輝くブロンドの髪色にはならないのは、毛髪内部で散乱する空洞が多くなることが一因である。
*「形」・・・
直毛で太い髪の毛、細い曲毛、縮毛、
下図 ↓ 直毛は毛の断面がほぼ真円で毛包も真っ直ぐであるが、曲毛、縮毛では断面が楕円状に扁平化し、毛包の下部が“し”の字型に曲がっている。
毛母細胞は上昇(髪の毛が伸びる)する過程で細長く変形するとともにアポトーシスを起こして死んでいく。(細胞分裂を停止して毛を作らなくなる) この過程は角化と呼ばれ、繊維状タンパク質であるケラチンとそれを囲むマトリックスタンパク質が集合して太い繊維束が作られる。
毛を構成するケラチンには、遺伝子変異により構造が変化し、伸びやすいタイプと伸びにくいタイプが存在する。(毛髪内部での現象です)
一般にくせ毛と呼ばれる曲毛や縮毛では、毛の形状が扁平化しているだけでなく、
この2種類のケラチンの分布に偏りがあることが知られている。
また、加齢に伴ってうねった形状の毛髪が増えているという。
これは、くせ毛になるかどうかを決めるのが毛根部の形状であることの関係している。
髪の毛の生え変わるサイクルで新しく毛包が作り出される際に真っ直ぐな毛包が作られれば直毛、曲がった毛包が作られればくせ毛が生えることになる。
単に遺伝子のタイプで決まるのではなく、細胞を取り巻く体内環境の違いによって細胞増殖速度が変わることなどでくせ毛が生じることがある。
*「動き」・・・
「しなやかな髪」と、「しなやかでない髪」に分類し、比較した。
毛髪の束の状態で実感されるため、毛髪同士の摩擦や絡まり状態を反映する。
当然絡まりが少ない毛髪の方がよりしなやかと評価される。
一方、摩擦や絡まりが少ない毛髪であっても、よりしなやかな髪としなやかでない髪が存在することが確認された。その違いは、毛髪内部のコルテックス(タンパク質)細胞に2種類の細胞があり、蛍光染料で2色に染め分けて比べたところ、
しなやかな髪は、表層が柔らかく内部が硬い。
しなやかでない髪は、表層と内部で硬さに差はなく均一に分布していることが分かった。
また、しなやかな動きは、毛髪表層が柔らかく内部が硬いという2層構造を反映するため、
毛髪表層を柔軟化することによりしなやかさは改善される。
以上。
大まかにまとめてみました。
こうした実験結果から学び、サロンでは、本来の髪の美しさを追求していきたいと思っています。 カラー剤、パーマ剤、紫外線による髪へのダメージ攻撃がわかったらどうしたらよいのか・・。
どうすれば美しい髪が守れるのか。
パーマやカラーをされる際髪の毛、髪の毛のことをご自身の身体だと思って丁寧に扱って頂きたいと常々思っています。